HEROES

鳥川雛太の小説、イラスト、ステンドグラスなどを置いてます

スイッチ

スイッチ.7

7 あとがき 『この話を含め、これから語るのは俺達が取材した事実、いわゆるドキュメントです。今回のスイッチは編集の時渡現本人とその弟が体験した、これからのヒーローたちが現れる元となった出来事でした。西郷茂之さんや爆破テロの犠牲者の御冥福をお祈…

スイッチ.6

6 西郷茂之 26歳、頑張って警察に就職した理由を改めて思い出して切なさにくれた。 生まれてから、小中高大、そして警察になってもなお、虐められた。 母さんはなんで僕を虐めたんだっけ。確か僕が生まれたせいで男に逃げられたんだっけ。 傷ついた物体を雑…

スイッチ.5

5 決着 アパートカルラン。いかにも古いアパート。そこに西郷町子は住んでいた。 カタンコトンと一人がやっと通る幅の階段を上る。204の番号を探す。ありえない事だが、いっそ見つからないでほしいくらいだった。 「ここだ…」 気のせいだろうが、なんだか重…

スイッチ.4

4 動き出した背後 「そろそろ遅いし、また明日にしよう。」 そう言われたから帰ることにした。神無崎駅に戻ってくると、見慣れた奴が腕時計と時刻表を見比べておどおどしていた。こちらに気づいてぱぁっと安心したような顔をした。 「あ、みっくんのお兄さん…

スイッチ.3

深夜0時、カレンダーを見て春休みまでの日数を数えていると、西沢さんからメールが届いた。 『夜遅くにごめんね。一つ気になって…。あのサイトは慰霊って書いてたけど、やっぱり西郷は死んでるんだよね?』 まあ、そうだ。少し返信に迷ったが、とりあえず何…

スイッチ.2

2 西郷の呪い 翌日の夕方、勉強を教えてもらうついでにまた西沢さんの協力をすべく交番を訪れた。今日は英数どっちをしようか。 「やぁ、みっくん待ってたよ。」 「協力してあげますから、今日も勉強教えてくださいね。」 「わかったわかった。さて、いきな…

スイッチ.1

『2005年の悲惨な爆破テロを、覚えているだろうか?』なんとなくつけたテレビが喋りだす。午後7時からのドキュメンタリー。今年は2015年である。『10年前、多数の死傷者を出したこの事件。未だに犯人は捕まっていない。』低い声でさもシリアスに読み上げる女…